達者でな

 

前にも この場で 書いておいたが、

愛犬ポンタは、ナニをどうしたって もうリッパな老犬であって、

イツ 異変が訪れても おかしくはない … と、あるていどの覚悟を 自分に言い聞かせておって …

 

 

、、、

 

 

5月1日

誰も信じないと思うけど、朝 目覚めたときから どうも胸騒ぎがしててね … まるで親父の時と似た 虫の知らせのようなね …

もうトシゆえ ノロノロ・ヨボヨボ歩くのは当たり前だし、イッコーに構わないのだが、

5月に入ったとたんの今日、ポンタの様子が おかしい。

少し歩いては 立ちどまり・少し歩いては へたり込む … そんなポンタを見るのは 初めてだ。

いつも ゴハンの時間が来ると、「メーシ! メーシ! 早く食わせろ メーシ!」みたいな鳴きを入れてくるのが 日常・恒例なのだけど、まったく声を上げることなく ナニヤラ食べることを躊躇してるようにさえ伺える … そんなポンタも初めて。

「食べねど しぬど。だがら食わいん」と 話しかけ、ちゃんと食べ終えるのを 見守る。

 

 

 

 

 

5月2日

数日前までは フツーに散歩してたポンタだったのに、なんかもう 外を出歩くのもツラそう。

家に居れば居たで ゴロリと寝たきり、ただただ寝てるばかり。

 

 

 

 

今夜も いちおう ゴハンをクチにしてくれたが、いつもの習慣で 仕方なくクチにしたって感じで、食の満足感が まったく見られない そんな食後の顔。

 

 

 

5月3日

リードを軽く引き、散歩を促してみるも、足を踏ん張り 抵抗・拒否するポンタ。

そして、ゆうべ食べたゴハンを 吐き出す。

内容物を確認すると、まったく消化されていない。

そのあと、再び 吐く。

健康バロメーターの鼻も カサッカサに乾いてる。

これは いかん!と、以前 大病し 手術を施してもらった犬猫病院へ連れてゆく。

 

 

 

 

先生に状況・状態を話し、体重と心音を測られ、点滴と注射2本してもらい 帰宅。

今日は とうとう 何もクチにせず、横たわったままに、これまで聞いたことのない激しい息を 荒くし続けている。

「ポンタ、がんばれ、ポンタ」と そっと体を さすると「グフン … 」と 返事のような呻きを 微かにあげた。

 

 

 

 

 

5月4日

歩くというより 立つことも 苦しそうなポンタに、それでも

「ホレ、その辺 ベッコばりでも行ぐべ。オシッコすっぺ」と 言いきかせると、よろけながら・ふらつきながら、ほんのちょっとだけ、一緒に 表を歩いてくれる。

出した少量の尿は、体内に巣食い蝕んでたドクかのような 禍々しい色だった。

家に戻った 少しあと、そして、住み慣れた自分の部屋を汚すのがイヤだったのであろうか … チカラをフリシボって外へ出たらしき そののち、大量に 下血した。

慌ててポンタを抱え、部屋に避難させ、頭に氷枕を敷いてやった。

蝿がタカリ始めたポンタの血を、オフクロが 泣きそうな顔をしながら 水で撒き流す。

 

 

…  お昼手前くらいか、とうとう ポンタは 息することを やめた。

 

 

 

 

一周忌が近い親父が、ポンタを アッチに喚んだのであろうか、それとも 親父のことが大好きだったポンタが、親父の一周忌を見込んで アッチに追っかけていったのであろうか … だとしたら、たいした忠犬だな、ポンタ。

 

 

人が言ってることとか・人が感じてることに よく気がつく、賢くて お茶目な 人間味あふれる犬だったな、ポンタ。

 

突然すぎて 魂消たぞ、ポンタ。

ほんと いろいろ ありがとな、ポンタ。

あれこれ わるかったな、ポンタ。

思い出が膨大すぎて うまく書けんわ、ポンタ。

達者でな、ポンタ。